一般内科(老年内科を含む)の主な診療内容
各診療内容について
生活習慣病
生活習慣病は、動脈硬化とがんのリスクです。日本人の死因のトップ5は、がん、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎ですが、老化現象である老衰と(誤嚥性)肺炎を除けば、動脈硬化(脳血管疾患、狭心症・心筋梗塞など)とがんであり、正に生活習慣病が主たる原因であることがわかります。
また、日本人の寝たきり原因は、認知症、脳血管疾患、転倒骨折ですが、認知症は中年期の高血圧や糖尿病や運動不足などが原因であり、転倒骨折は運動不足や骨粗しょう症が原因となり、脳血管疾患は動脈硬化の病気ですから、やはりいずれも生活習慣病が主たる原因と言えます。
寝たきりにならずに長生きする、すなわち健康寿命の延伸は、生活習慣病対策にかかっているといっても過言ではありません。当院では、そういった観点から生活習慣病の治療に取り組んでいます。
高血圧症
高血圧症は、心不全や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞(脳血管疾患)、慢性腎臓病(透析などを含む)の原因となるため、心臓・腎臓・血管を評価して対策することが必要です。
また、来院時の血圧測定値は、脳卒中や心疾患発症の予測にはほとんど役に立たないので、血圧治療中は自宅での血圧測定(朝・晩)をお願いして、そのデータを基に、薬の量や服用に適した時間帯の調整も含めて、厳密な管理を心がけております。
糖尿病
糖尿病は、心筋梗塞や脳血管疾患などの大きな血管の動脈硬化のみならず、目や腎臓や神経などを栄養している細かい血管の障害まで引き起こし、さらには、がんのリスクまで上昇させる厄介な病気です。それゆえ、採血や検尿をはじめ、各種の多くの検査による定期的な全身評価が必須となります。
一方で、これらの糖尿病による合併症を改善するには、糖尿病の指標であるHbA1cを改善することも大切ですが、むしろ高血圧や脂質異常をコントロールした方が容易に予防できることも知られていますので、血糖関連の指標だけに気を取られていると、全身の健康状態のコントロールを失敗することにもなりかねません。
さらには、インスリン注射やSU剤と呼ばれる強めの内服薬を使う場合、HbA1cを改善させすぎることで、かえって死亡リスクが上昇してしまうことも知られています。(2016年には、HbA1cを下げすぎてはいけないという“下限値”が、日本糖尿病学会や日本老年医学会の声明で設定されました。)
当院では、単純にHbA1cを下げるだけではなく、合併症の進行状況、日常生活の活動度、認知機能、年齢などを加味して、適切な栄養指導と慎重な薬物管理を心がけております。
脂質異常症
脂質異常症は、心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化による病気を引き起こしますが、性別・年齢・血糖上昇・低HDL-C値・慢性腎臓病・脳心血管疾患や末梢動脈疾患の既往によって、同じLDL-C値であっても動脈硬化発症リスクは異なることが知られており、そのリスクのレベルによってLDL-C値の目標値も変動させなければなりません。おまけに、LDL-C値が同じ、動脈硬化のリスクが同等であっても、体質(遺伝)も関わってくる部分があるため、一概に同じ治療で良いとも言えない場合があります。中性脂肪やHDL-C値の異常においても同じことが言えるため、結局は動脈硬化が進行しているかどうかが、治療方法や治療強度を考えるうえで、とても大切な因子になってきます。
やみくもに薬で検査値の帳尻合わせをするのではなく、頸動脈エコーや脈波検査を利用して動脈硬化の状態をモニターし、その上で、薬の要否を検討し、薬の強度も調節するように心がけています。
認知症
認知症とは、
という3条件を満たした場合に診断されます。 ただし、“認知症”という言葉は“症状”の名称であり、”病名“ではありません。したがって、認知症という症状の原因となる病気は、山ほどあります。(腹痛の原因となる病気は、胃炎、腸炎、胃がん、大腸がん、胆のう炎、膵炎、膵癌、尿路結石・・・などなど、山ほどあるのと同じです。)
認知症の原因として圧倒的に一番多いのは、脳が全般的に萎縮してくる”アルツハイマー型認知症“ですが、そのほかにも、動脈硬化をベースとした”血管性認知症“、幻視や転倒(パーキンソン症状)や認知機能の変動が特徴的な”レビー小体型認知症“、同じ動作を繰り返したり社会性が欠如する”前頭側頭型認知症“などがあります。
中には、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症など、治療が可能な認知症もありますので、一口に認知症と言っても、その原因を検索することは、とても大切です。
血管性認知症は動脈硬化が原因なので、生活習慣病がリスクであることは容易に想像がつきますが、脳萎縮が原因であるアルツハイマー病も、実は、糖尿病、運動不足、中年期の高血圧、中年期の肥満が原因となるため、正に生活習慣病と言えます。ただし、“痩せ”は全年代を通じて認知症のリスクとなりますので、生活習慣病対策として痩せれば大丈夫という先入観は間違っており、思い込みは禁物です。
認知症は、その治療も対策もなかなか難しいところがありますが、当院では、“認知症の人と家族の会”とも協力体制をとりつつ、認知症の人とそのご家族の方が、安心して生活していける方法を模索するお手伝いをしております。お気軽にご相談ください。
発熱
当院通院中の方、あるいは、当院への通院歴がある方であれば、発熱および感冒症状などにも、極力対応させていただきます。感染対策の観点から、なるべく他の受診者の方と交わらないような形で診察をさせていただきたいと思っておりますので、あらかじめ外来診療部に電話連絡をいただけますと助かります。診察の時間設定をさせていただき、感染対策の専用エリアにて対応させていただきます。
ACP(人生会議)の考え方を基調とした診療
ACP(Advance Care Planning=人生会議)とは、聞きなれない言葉かもしれませんが、将来、医療及びケアなどを受けることになった場合に、どういう選択をしていったらよいのか、繰り返し考えていくプロセスのことを指します。日本は人生100年時代に向けて突き進んでおり、100歳になった自分を想像しながら、将来のことをいろいろ考えていきます。当然のことながら、ご本人を中心として、ご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援し、その“思い”の情報内容をみんなで共有して生かしていこう、とします。厚生労働省は、このACPというプロセスを一般に広めるために、“人生会議”という愛称をつけました。
この人生会議は、たいへん重要なことではあるのですが、その一方で、始めるタイミングがなかなか難しく、また、内容も複雑なため、思ったように普及していないのも現実です。当院では、知多半島のACP専門家グループと協力して“人生100年これからゲーム”を作成したり、知多半島南部にある美浜町役場さんや知多厚生病院さんと協力して、“人生会議ノート”を作成したり、人生会議の試みを後押しするように努めています。
ACP単独のご相談に応じることは、もろもろの状況把握が難しいため対応が困難ですが、当院通院中の方であれば、お気軽にご相談いただければ・・・と思います。
各種症状
頭痛、胸痛、息切れ、吐き気、腹痛、下痢、冷え性、動悸、ほてり、食欲不振・・・さまざまな症状がありますが、当院の豊富な検査機器にて、重大な病気が隠れていないかどうか検索した上で、なんらかの処置が必要なのか?単に症状に対応すればよいのか、そのあたりを見極めていきます。
なんらかの処置が必要な場合、当院で対処可能な場合は当院にて、専門医療機関へのご紹介が必要な場合は紹介状をお作りし、予約可能な専門医療機関であれば予約もおとりしていきます。
また、単に症状に対応する際でも、現代医学的に症状をとるのか、漢方医学的に症状をコントロールするのか、いろいろな選択肢があります。(“漢方内科”参照)